2012年6月2日土曜日

2012年6月2日 速記検定について


 2012年6月2日 速記検定試験について

 現在、第180回通常国会が開かれています。速記検定も第180回ということで、今回の速記検定試験は記念大会的な意味があったと思います。
 しかも今年は速記130年の記念の年です。
 ここ2回、速記検定試験を受けて、養成所時代からずっと3級と1級を受け続けていたらどうだっただろうと思いました。もし150回、3級と1級を受けていたら、何回3級と1級に合格できたのだろうかと思いました。
 150回も1級を受けていたら、速記者生活がもっと変わったものになっていたかもしれません。
 昔、毎回1級を受けて毎回のように合格していた先輩が九州におられました。
 速記検定試験は、毎回、問題も違いますし、朗読者も違います。一回一回全く別物です。
 前回受かったから今回も受かるとは限りません。
 受験すれば毎回何か新しい発見があると思います。
 受け続ければ実力がアップすると思います。
 一度文部大臣賞を取った人は、二度と文部大臣賞を取れないと言われたことがあります。一度賞を取った人は同じ賞を繰り返し取れないというような規則がもしあるとするならば、そういう規則は取っ払った方がよいと思います。
 速記検定試験は1回1回別物ですから、同じ人が複数回同じ賞を取ることを認めるべきだと思います。文部大臣賞を取っていても文部科学大臣賞は取っていないという言い方もできますし、1級の文部大臣賞を取っていても、2級の文部科学大臣賞も3級の文部科学大臣賞もまだ取っていないという言い方もできます。1月の1級の文部科学大臣賞を取ったけれども、5月の1級の文部科学大臣賞も取りたいという人もいると思います。
 高速度速記競技会における順位の有効期間は1年です。去年6位でも、今年出場しなければ、ほかの人に6位の座を奪われてしまいます。だから、10位以内をキープするためには毎年出場しなければなりません。
 私が1級に合格したのは、第27回速記検定試験です。
 昭和49年1月27日に実施されました。
 私は養成所の27期生です。第27回速記検定試験で、実施日が27日でした。
 もっと言うなら、私の誕生日は2月7日です。昭和27年生まれが中心の学年です。
 巡り合わせが良かったのか、文部大臣賞をいただきました。
 そのとき、東京だけで91人の人が1級を受験しました。
 そしてそのうち、東京だけで40人の人が合格しました。
 私は、ミスを11出したにもかかわらず、全国1位だったので文部大臣賞をいただきました。38年ぶりに受けた第179回速記検定試験においても、3級で全国1位だったので、日本速記協会最優秀賞をいただきました。賞を取ろうと思って受けたわけではありませんが、もう一度ここで1級に合格しておきたいと思ったのです。
 私は、20歳で1級、59歳でも1級を目指しています。
 59歳でも1級に合格できれば、40年間1級の実力を維持したことになります。
 これは、当たり前のようでいて大変なことです。
 養成所時代は、月曜日から土曜日まで、午前中、先生に30分間朗読をしてもらって、3本目の10分間を毎日反訳していました。毎日速記反訳練習をして、答え合わせや採点もしてもらって、ミスノートもつけていたから1級に合格することができたと思います。
 採用されてしまうと、練習量が減ります。
 練習しなくなれば、書けなくなってしまうのは当たり前です。
 1級に合格しているからといって、今も1級の実力があるとは限りません。
 速記検定試験の有効期限は5年くらいだと思います。
 衆参速記者養成所の最後の研修生が卒業してから5年8か月たちました。
 国会から7年近く新規に1級合格者が出ていません。このままでは、衆参の速記技術は途絶えてしまうのではないかと思います。
 私は、速記検定試験こそ受けてきませんでしたが、日本速記協会主催の高速度速記競技会には35年連続37回出場し、10位以内が18回で、17回入賞しました。1位はありませんが、2位から10位までの順位は全て取りました。
 20回も落選したのは、朗読が速過ぎる、高速度に弱い、問題が難しい、優秀な人がたくさんいた、書き慣れない問題が多かった、同じような気持ちを持ったライバルがいなかったということもありますが、最大の理由は練習不足だと思います。
 したがって、養成所卒業後もずっと1級と3級を受け続けていれば、もっと入賞できただろうし、もっと良い成績を残すことができたのではないかと思います。
 私は、1位から10位まで衆議院に独占されてはまずいと思って出場してきました。昨年も、出場したおかげで一矢を報いることができました。
 高速度速記競技会と同日に行われてきた東京速記士会主催速記競技大会のR級、A級(10分間3200字朗読)にもずっと出場してきました。32回入賞し4回優勝しました。スピードが遅くなればなるほど私の相対的な順位は良くなるようです。高速度で優勝することも大切ですが、3級でノーミスを取ることも意義のあることだと思います。
 1年に1回の高速度速記競技会に出場するだけでは、なかなか良い成績を残すことはできません。やはり年4回ある速記検定試験にも出場し続けることによって技術が鍛えられ、良い成績を残すことができるのではないかと思います。
 5月の速記検定試験では、1月の試験よりミスが減ったと思います。落ち着け落ち着けと自分に言い聞かせたのですが、あわててしまって、符号が乱れたり、抜けたりしました。新しい符号が大分反射的に書けるようになりましたので、これからは更に速記の精度を上げていくことができると思います。
 8月の検定では、もっとしっかりとした結果を残したいと思います。
 10分間の朗読を書くことも、3200字を2時間かけて手書き反訳することも、日ごろしていません。勘を取り戻すだけでも大変です。
 25歳で主任速記士試験に合格してから35年近くたっています。
 主任速記士試験は、合否が問われる国会速記者の最終試験です。
 迷ったら初心に返るというか、原点に戻るというか、速記検定試験を受けて良かったと思います。こんなえらい仕事をよく選んだなと思います。3時間手書き反訳すると手が痛くなってきます。3級と1級を合わせると4400字にもなります。
 しかし、改めて、速記が書けるということはすばらしいことだと思いました。速記は人間の能力を磨くための最高の学習活動だと思います。
 国会速記者という職業は国民の憧れの職業の一つだったと思います。全国から優秀な人が集まり、養成所での厳しい訓練にもみんなしっかりと取り組むことができたと思います。そして、120年にわたってすばらしい業績を残すことができたと思います。
 後継者が途絶えれば、正確な記録は残せなくなります。
 速記検定1級合格者でも、ノーミスの原稿を作成することは難しいことです。6級にも合格していない人がノーミスの仕事をするのは至難の業です。
 速記検定試験は録音機使用禁止です。人の本当の能力が問われます。
 武器や弾薬だけで日本を守ることはできません。日本の国を守るためには、速記技能検定試験1級に合格する能力を持った人、自力で立派な速記録原稿を作成する能力を持った人を今後も育成していかなければならないと思います。

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