2009年9月30日水曜日

2音2画は問題なし

2009-09-29

2音2画は問題なし

 加点が間に合わなかったら…
 引き続き、「濁音+イ」の加点についてお尋ねします。(現場での対処方法)
◆「ガイサン(概算)」は、「カサン」と書いて「・」を打つと教わりました。
 たとえば、先に「ガ(カに小円)」を書いてしまったら、その後どう対処したらいいのでしょうか。
(A)書きづらいけれども、小円に続けて「イ」の基礎符号を書く。
(B)「ガサン」と書いておいて、読むときに推測する。
(C)「ガサン」と書いて「・」を打っておく。
★いずれも正解です。
 後で読み返しができれば良いので、書き誤った場合にどう書き改めるかは、その人のとっさの判断によるべきであって、こう書かなければならないという規則はありません。
 どこまで略しても正確に反訳できるかは、速記を書いて反訳あるいは読み返しを繰りかえすことによって、わかってきます。
 通常は、「概算」という言葉全体を聞いた後で「概算」と書きます。
 あるいは、「がい」と聞いた時点で「がい」と書きます。
 「が」だけでは何のことかわかりませんので、「が」と聞いただけで「概算」と書き始めることはありません。
 速記は、音だけではなくて、意味も追っていくのです。
 速記は人の話に合わせて書いていきます。
 躊躇する時間、思案する時間、書き改めている時間はありません。
 力の限り、書けるだけ書くのです。
 1音を2画で書くことには無理がありますが、2音を2画で書くことは、1音を1画で書くことと同じことですから、無理ではありません。
◆「ガイジンボチ(外人墓地)」は、どう書くのでしょうか。
(A)「カジン」→「・」→「ボチ」
(B)「カジンボチ」→「・」
(C)どっちでもいい。
★「がい」「じん」「ぼち」と書いていきます。
 前にさかのぼって書くというのは、余裕がないと書けませんから、短い単位で完結させながら書いていきます。前に戻ると、それだけタイムロスになります。余計な動きをすることになり、「抜け」の原因になります。
◆他の方式では濁音を加点で表すことが多いですが、ほとんどの場合は点を打つ余裕はありませんので、読むときに推測することになります。
★低速度の場合はきちんと打てても、高速度になるとほとんど打てなくなるようです。1音を2画で書くのは無理があるのです。
 高速度速記競技会で優勝した後輩に、濁音表記はどうしているんだと聞いたら、「打たなくても読める」と言いました。最初からそういうふうに訓練されているので、大丈夫なのです。
 しかし、物理的に無理な書き方は改めるべきです。書くことが無理な速記法を人に教えてはいけません。練習すれば書けるようになる速記法を教えるべきであって、練習しても書けないような物理的に無理がある速記法は教えるべきではありません。
 多くの速記法は、最初から濁音、半濁音を完全に表記することを諦めているのです。「は」「ば」「ぱ」は同じに書いても大丈夫という考え方です。
 「パイナップル」を「はいなっふる」と書いても「パイナップル」と読めなくはありません。しかし、だからといって、「パイナップル」は「はいなっふる」と書いて良いのだということにはなりません。
 「バナナ」を「はなな」、「リンゴ」を「りんこ」と書いても読めるのですが、そういう書き方をせざるを得なかったのは、録音機がなかったからです。何が何でも抜けないように書かなければならなかったので、清音、濁音、半濁音の判別は二の次にされて、必要な場合に限定して加点することとされたのです。
 濁音、半濁音がなくても、日本語表記が正確にできるなら、濁音、半濁音はこの世から自然に消えるはずです。日本語を正確に表現するために濁音、半濁音が必要だから、濁音、半濁音があるのです。今は録音機もあるわけですから、日本語を正確に表現できる速記法を普及していくべきなのです。
 ガイサン(概算)、ダイベン(代弁)、ベイコク(米国)、ガイダンス、ズイイケイヤク(随意契約)、ゲイジュツカツドウ(芸術活動)等々、「濁音+イ」という言葉は結構多いですね。
◆加点が間に合わなかったら…
他式…「ガイサン(概算)」を「カイサン(解散)」に誤読するリスク
本式…「ガイサン(概算)」を「カサン(加算)」に誤読するリスク
★2音に対して2画は、問題ありません。物理的に無理ではありません。したがって、この加点が原因で抜けるということは、ありません。手抜きしないできちんと書いてください。
 1音に対して2画は、物理的に無理がありますから、「加点が間に合わなくなる」可能性は十分にあります。
 私は、中学・高校時代に石村式を学びました。石村式は、「スピードを落とさずに濁音、半濁音を完全に表記すること」を目指す速記法です。石村式で育った私にとって、濁音、半濁音を正確に書くことは当たり前であり、常識なのです。「は」「ば」「ぱ」は同じに書いても差し支えないという立場とは異なります。
埼玉式においては、「イ」の点を打つ余裕がないケースが想定できますが、「たとえ点を打つことが出来なくても、後で読み分けるときにはあまり支障はありませんよ」と解釈してよろしいでしょうか。
★繰り返しますが、2音を2画で書くことは、1音を1画で書くことと同じことであり、物理的に無理のある書き方ではありません。この加点が原因で抜けるということはありませんから、躊躇なく加点していただいて、差し支えありません。
 書くべきものを書き落とせば、当然ミスになります。正確に書けた分、正確に読み返しなり反訳ができるのです。
 ミスが多ければ、採用されません。養成所に入所した人すべてが採用されるわけではないのです。1点のミスで涙を飲むこともあるのです。1本の線、1つの点も、おろそかにしてはいけません。どうでもいいことは書かなくても結構ですが、書かないとミスになることは、きちんと書かないといけません。
 何事も、最初に何色に染まるかが、その先を決めてしまうので、最初からきちんと書く習慣をつけることをお勧めします。きちんと書かない速記法を勉強した人に、後からきちんと書けというのは、非常に難しいと思います。心の中で「書かなくてもいい」と思い込んでしまっているからです。そういう色に染まってしまった人は、そのまま突っ走るしかないかもしれません。
 キーボードで言いますと、私は、昭和60年に「書院」を買って以来、ずっとJISのひらがな入力を使ってきました。富士通の「親指シフト」になじむことはできませんでした。JISのひらがな入力が得意ですが、JISのローマ字入力もできます。
 カラオケに例えて言いますと、節回しを変えて歌おうが、替え歌を歌おうが、人の勝手ですが、歌手は人の手本とならなければなりませんから、作詞・作曲に忠実に歌うことが必要だと思います。
 一般の人は、音符を見てカラオケをするわけではありません。歌手の歌い方をまねて歌うのです。歌手の歌い方が間違っていて、それを見習ったら、幾ら練習しても、高得点は出せません。だから、「歌手は創造者(アーティスト・芸術家)だからカラオケの得点が低くても構わないのだ」という考え方は、間違っていると思います。歌手なら100点を目指すべきであり、100点を取ってから、自分なりの境地を開くべきなのです。
 20090929
 旅人よ
 87-34-25-91点
 君といつまでも
 86-20-25-91点
 お嫁においで
 90-25-11-94点
 夜空の星
 80-30-03-86点
 世界に一つだけの花
 84-12-03-87点
 積木の部屋
 83-20-17-90点
 愛の園
 84-09-29-91点
 シクラメンのかほり
 83-16-28-90点
 霧の摩周湖
 85-12-29-90点
 青春時代
 87-12-12-93点
 今日でお別れ
 93-43-30-97点
 また逢う日まで
 89-21-10-94点
 黒い花びら
 80-11-14-89点
 君こそ我が命
 85-23-27-91点
 君恋し
 88-36-41-92点
 有楽町で逢いましょう
 87-19-15-92点
 赤いハンカチ
 89-21-20-93点
 嵐を呼ぶ男
 89-09-01-91点
 男傘
 83-10-25-88点
 花はおそかった
 86-11-08-91点
 東京の灯よいつまでも
 94-22-13-95点
 ふるさとのはなしをしよう
 88-18-11-92点
 嫁に来ないか
 80-17-13-89点
 激しい恋
 85-11-09-92点
 傷だらけのローラ
 83-13-16-90点
半濁拗音と半濁拗長音
 速記普及のためには、簡単に覚えられて、高速度が書ける速記法が望ましい。書きやすく読みやすくミスが少ない速記方式が望ましい。
 拗音や拗長音のところでつまずく速記学習者が多いと聞いていますので、拗音、拗長音、濁拗音、濁拗長音、半濁拗音、半濁拗長音が、基本文字の組み合わせだけで書けるということは、大切なことです。
 拗音、濁拗音、半濁拗音、拗長音、濁拗長音、半濁拗長音を、何とかして、基本文字の組み合わせだけで書けないものかと考えていて、その書き方を教壇に立って生徒さんに教えていたときに、ああ、こうすればいいんだと、自分で答えを見つけることができました。
 生徒さんからの提案で、新しい書き方を編み出したということは、ありません。
 拗音は、「きしちにひみり」に「あうお」を付ければよいのです。
 濁拗音は、「ぎじぢび」に「あうお」を付ければよいのです。
 半濁拗音は、「ぴ」に「あうお」を付ければよいのです。
 拗長音は、「きしちにひみり」に「やゆよ」を付ければよいのです。
 濁拗長音は、「ぎじぢび」に「やゆよ」を付ければよいのです。
 半濁拗長音は、「ぴ」に「やゆよ」を付ければよいのです。
 20090928
 旅人よ
 85-25-16-90点
 君といつまでも
 86-19-20-90点
 お嫁においで
 90-29-10-94点
 夜空の星
 82-33-03-87点
 世界に一つだけの花
 84-20-03-88点
 旅人よ
 87-38-26-91点
 君といつまでも
 87-21-19-92点
 お嫁においで
 90-25-05-93点
 夜空の星
 84-31-01-87点
 世界に一つだけの花
 83-18-01-85点
 今日でお別れ
 91-44-27-94点
 旅人よ
 83-27-11-89点
 君といつまでも
 89-15-18-93点

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