2010年6月1日火曜日

現場の速記

 現場で速記をとって、反訳して、録音・録画と照合して速記録を作るのと、現場で速記をとらないで、録音・録画から直接パソコン入力で速記録を作るのと、どちらが簡単か。

 私は、現場で速記をとって反訳する方が簡単だと思う。

 録音・録画から現場の雰囲気を感じ取るのは難しいし、録音・録画からでは、相当ボリュームを高くして聞いても、なかなか細かいところが鮮明には聞こえてこない。

 4方向からカメラ撮影されていても、送信されるのは1方向のカメラからの映像であり、一面的、平面的であり、全体の動きを把握するのは難しい。
 速記者が中央に向かい合って座ることによって、常に360度、会議場の全体を見渡すことができるのである。

 また、話を直接パソコンでタイピングするのは、スピードがとても速いので骨が折れる。スロー再生にすれば、不自然な発声になるので、却って聞きづらい。しかも、原稿作成開始から原稿作成終了まで、ずっと録音・録画を聞き続けなければならない。

 録音・録画の直起こしは、想像できないくらいかなりしんどい仕事ではないだろうか。
 速記を書かない分、余計に大変ではないかと思う。

 発言者が使っている原稿や資料も、現場に出ていれば顔を合わせているので請求しやすいけれども、テレビだけを見て面識のない人に請求するのは、大変だと思う。

 何年も現場の速記を経験した人たちだからこそ、何とかこなせているのであって、経験のない人にこの仕事をさせるのはとても酷なことだと思う。

 現場で速記をとることがなぜ良いかというと、火事場の馬鹿力というか、物すごく速い発言や物すごく難しい発言、物すごく聞き取りにくい発言でも、現場に出れば気合が入るので、それなりに書き取れるということである。現場に出れば、実力以上の力を発揮することができる。

 野球で言えば、大勢の観客の前でバッターボックスに立つから、ホームランやヒットを打てるし、全力疾走で塁を回ることもできる。剛速球を投げることもできるし、激しい当たりをナイスキャッチすることもできる。

 イスに座ってテレビを見ているだけでは、機敏な動作や速い頭の回転を期待するのは難しい。

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