2011年10月23日日曜日

東京速記士会主催速記競技大会A級

 東京速記士会主催速記競技大会

 2011年10月22日開催

 A級 分速 320字 10分

 まず最初は、言葉のお話であります。

 文化庁が国語に関する調査をした結果が先日発表されましたので、その中から、言葉の意味と慣用句についての調査結果を見てみたいと思います。

 勘違いしやすい表現の例としてよく挙げられる「情けは人のためならず」についてですが、「人に情けをかけると、結局自分のためになる」という正解をした人と、その反対の人は、どちらも半分ずつだったそうであります。

 また、「雨模様」という表現に対しては、「雨が降りそうな様子」と正しく回答した人は43%で、「小雨が降ったりやんだりしている様子」と答えた人は48%だったそうです。

 それから、「姑息」という言葉について、「一時しのぎ」と正確に理解している人は、わずか15%しかいなくて、「ひきょうな」という意味だと解釈していた人が71%もいたということであります。

 さらに、「号泣する」という表現を、「大声で泣く」と正しく回答した人は34%であったのに対して、「激しく泣く」と答えた人が48%もいたそうであります。

 一方、慣用句の例を見てみると、「わずかな時間も無駄にしない」という意味の慣用句を「寸暇を惜しんで」で正確に回答した人は28%だったのに、「寸暇を惜しまず」と反対の意味に理解していた人が57%もあったそうです。

 また、「前に負けた相手に勝つ」という表現をする場合、「雪辱を果たす」と言いますが、これを「雪辱を晴らす」と理解している人も多くいて、前者が43%で、後者も44%ということで、ほぼ同数だったそうであります。

 それから、「することがなくなって、時間を持て余す」ことを「間が持てない」と正確に回答した人が29%だったのに対して、「間が持たない」という表現だと記憶していた人は、61%もいたということであります。

 なお、この調査においては、同時に、いわゆる“お役所言葉”についても意見が求められておりまして、8割以上の人が、「官公庁の文書は特殊な表現が多くて困った」という回答をしていたそうであります。

 もっとも、難解な公用文は、わかりやすい表現にするようになっておりまして、「斡旋」を意味する言葉として「懇請」という表現があったそうですが、今はほとんどなくなっているということであります。

 また、「処置」ではなく「措置」という表現は、相変わらず多用されているそうですが、公用文こそ広く一般の人々に理解してもらう必要があるわけですから、簡単な表現に変えるべきであると思っているのであります。

 それでは、次の話題に移ります。

 皆さんも御承知のとおり、大相撲の世界において八百長問題が先日発覚して大騒ぎになりました。

 この問題について、皆さんはどうお考えでしょうか。

 この点について、元大相撲の有名な力士だった人が「土俵の矛盾」という本を出版されていますので、その中身を少し御紹介したいと思います。

 まず、「相撲はスポーツではない」ということから話が始まっていて、相撲というのは、神社の中での神事であり、伝統芸能であるとともに、格闘技でもあるということで、スポーツとは言えないというわけであります。

 つまり、スポーツというよりも国民の娯楽の一つだったという位置付けをしておられます。

 ただ、勝ち負けを決定し、番付を決めて、興行を行うときには入場料を取るわけですから、これはスポーツだと理解する人が多いということで、スポーツはフェアであるべきで八百長などとんでもないという厳しい批判が起こってくるわけであります。

 すなわち、不祥事が起こると、「相撲界だけは起こしてほしくなかった」とか、「国技なのだから」という非難がごうごうと起こるのですが、相撲界だけ清廉潔白を求められるというのはおかしいし、まして、相撲が国技だとはどこにも決められていないのです。

 そして、プロ野球の世界においては、野球を賭博の対象にすることや、薬物を使用することは法律で禁止されていますから、それが発覚すると大問題になりますが、八百長というのは法律違反ではないというわけです。

 もちろん、いい加減な相撲を取ると、緊張感がなくなって、興行がうまくいかなくなりますから、一生懸命相撲を取る必要があるというわけであります。

 そのためには、体重を減らして、足腰をしっかり鍛えて、少々のことでは前に倒れないようにしないと、白熱した相撲ができなくなるので、力士の人たちは日々、切磋琢磨して精進する必要があると思います。

 このような意見を述べておられるわけですが、これに関して、有名なプロレスラーのお話を紹介したいと思います。

 この人は、「プロレスをできるだけ長く続けて、ファンの方々に楽しんでもらうため、自分は毎日厳しいトレーニングをして、怪我をしないように最大限の注意を払っている」とおっしゃっているのであります。

 つまり、オリンピックで行われるレスリングという競技とは違って、プロレスというのは、スポーツとしてではなく興行として扱われているわけですが、プロレスラーの方々は、そういう気持ちで毎日過ごしているというわけであります。

 今回の八百長事件をきっかけに、相撲界も考え方を変えてはどうかと思うのであります。

 それでは、最後の話題に移ります。

 先日、ニュートリノという物質が光よりも速く動いたという測定結果が、日本の科学者も参加している研究グループから発表されたのであります。

 このニュートリノというのは、物質を構成する最小単位の素粒子でありまして、これが光速を超えたということが証明されれば、現代の物理学というものを根底から見直さなければならないことになるそうであります。

 つまり、「物体の速度は光速を超えられない」ということと、「運動する物体では時間がゆっくり進む」ということになっておりまして、これは、アインシュタインという有名な科学者が提唱したもので、こういう時間と空間の関係を示す理論が、現代の物理学の基本理論となっているからであります。

 この国際的な研究グループは、人工的に作ったニュートリノを発射して、700キロも離れた場所でそれをキャッチするという実験を、この3年間で1万5000回も繰り返したそうであります。

 その結果、秒速30万キロとなっている光の速度よりも、1億分の6秒速く動いていたということであります。

 これがもし本当に証明されれば、どういうことになるかと申しますと、タイムマシンという空想の機械が現実味を帯びてくるという話であります。

 つまり、アインシュタインの相対性理論では、物体が光の速度に近づくに連れて、時間の流れは緩やかになりまして、光速になると完全に止まってしまうわけであります。

 そうすると、光速を超えた場合はどうなるかというと、時間が戻る可能性があることから、時空を超えられるタイムマシンという機械を製作できるのではないかというわけであります。

 ところで、従来、この相対性理論に対しては、あらゆる角度から検証が行われておりまして、絶対に誤りはないとされてきましたが、今回のこの測定結果の発表を受けて、このニュートリノを使って同様の実験ができる研究所が世界には幾つかありますので、そういう研究所において検証実験が行われるようになるということでありまして、その結果がどのようになるか、今から非常に楽しみであります。

 なお、今回の実験における問題点は何かと申しますと、測定に使用された時計の精度だそうであります。

 つまり、皆さんはGPSという言葉を聞いたことがあるかと思いますが、これは「衛星利用測位システム」というものでありまして、そもそもこのGPSの技術にも相対性理論が使われているのであります。

 したがって、相対性理論でもって相対性理論の問題点を指摘するというようなことはおかしいという科学者の意見もあるわけであります。

 それはともかく、科学の世界は今後とも進んでいくため、興味は尽きないものであります。

0 件のコメント:

コメントを投稿