2011年6月25日土曜日

第176回速記検定1級問題

 私の字数計算方法は、問題文に一切手を加えません。
 一字空けや句読点も一字として計算します。
 したがって、そのまま朗読に使うことができますし、模範解答としても使うことができます。
 年に4回ある速記検定試験の問題を作るだけなら、手の込んだ方法でも構わないかもしれません。
 しかし、一人の速記者を一人前にするのには、問題を毎日のように作成しなければなりません。
 速記指導者のためにも、簡単に問題を作成し、簡単に字数計算ができるようにしなければならないと思います。
 速記学習者の方も、句読点や改行を正しく入れる習慣がつくと思います。
 句読点や一字空けを1字として計算する場合、句読点や一字空けの間違いをミスとしてカウントするかという問題が発生するかもしれません。
 明らかに入れるべきものを入れなければミスになる場合もあるということにしてはどうかと思います。

 第176回速記技能検定試験1級問題

■きょうは、まず初めに、学校の先生につい
てお話をしたいと思います。■皆さんは、学
校で授業が成り立たない状況が起きていると
いう話を聞いたことがあると思います。例え
ば、授業中に先生の話を聞かない生徒がいる
(100)
のであります。それから、授業中に歩き回る
生徒もいます。中には、先生が幾ら注意しま
しても、全く言うことを聞かない生徒もいる
のであります。このような状態が長く続きま
すと、きちんとした授業をすることは難しい
(200)
と思います。■どうしてこのようなことが起
きているのかといいますと、私たちが子供の
ころと比べまして、先生に対する尊敬の念と
いうものが薄れてきているからではないかと
思うのであります。それから、最近は、先生
(300)
の資質というものもよく話題になっています
。つまり、指導をする力が落ちているのでは
ないかという意見もあるのであります。■そ
こで、きちんとした指導をするために何が大
切かということについて考えてみたいと思い
(400)
ます。■まず大切なことは、生徒の性格を把
握するということであります。当たり前のこ
とでありますが、生徒の性格は一人一人違い
ます。それぞれに合った指導をするためには
、それをしっかりと把握しなければなりませ
(500)
ん。その上で、それに合わせた指導をするの
であります。■また、生徒の学力に合わせる
ということも大切であります。まず、授業の
内容をどのくらい理解できているかというこ
とを確認する必要があります。それをしない
(600)
まま授業を進めてしまいますと、ついていけ
ない生徒が出てきます。そうすると、ついて
いけなくなった生徒は授業を聞かなくなって
しまいます。そのようなことにならないよう
にしなければなりません。■このように、き
(700)
ちんとした指導をするためには、その性格で
ありますとか学力に合わせた対応というもの
が重要になってくるのであります。■それか
ら、生徒の話をよく聞くことも大切でありま
す。生徒を指導するときに、一方的に話すと
(800)
いうのはよくありません。やはり、お互いの
コミュニケーションが大切であります。です
から、私は、そういう能力を見につけること
が重要だというふうに思います。しかし、今
は、そけが不足している先生がふえているよ
(900)
うであります。こういう人が幾ら指導をしま
しても、なかなか伝わらないと思うのであり
ます。■そして、先生というのは、人に教え
るだけでなく、人から学ぶことも大切であり
ます。そういう姿勢がなければ、そこで進歩
(1000)
がとまってしまうのではないかと思います。
人が成長するためには、周りから学んでいく
ということがとても重要なのであります。こ
れは、どのような仕事にも言えることであり
ます。■私は、先生になる人の情熱というの
(1100)
は、今も昔も変わらないと思います。ですか
ら、そういう人たちがすばらしい先生になる
ことを願っているのであります。■それでは
、次のお話に移りたいと思います。■皆さん
もよく御存じのように、今の社会では、いろ
(1200)
いろなものがデジタル化されています。この
ような社会のことをデジタル社会といいます
。■現在、多くの人がパソコンを使っていま
す。そして、インターネットを通じまして、
さまざまなサービスを利用しています。今で
(1300)
は、家庭にもかなり普及しています。それに
よりまして、生活が便利になりました。例え
ば、わざわざお店まで行かなくても、買い物
ができるようになったのであります。もちろ
ん、実際に品物を見て買うことはできません
(1400)
。しかし、重いものを持てない人や、買い物
に行く時間がない人にとりましては、とても
便利だと思うのであります。■また、政府は
、学校のIT化ということを進めています。
例えば、授業でパソコンを使えるように、環
(1500)
境を整えているのであります。これによりま
して、多くの学校におきまして、パソコンを
使った授業が行われるようになってきました
。■さらに、最近では、銀行でもIT化がど
んどん進んできています。銀行のほとんどの
(1600)
手続は、インターネットで行うことができる
ようになりました。そして、ほとんどのサー
ビスはいつでも使うことができます。ですか
ら、忙しい人にとりましては、とても役に立
つものなのであります。また一方で、銀行に
(1700)
とりましてもよいことがあります。それは、
業務の合理化ができるということであります
。■それから、携帯電話につきましても、こ
の十年ほどの間に環境が変わりました。今は
、多くの人が携帯電話を持っています。また
(1800)
、その種類もいろいろなものがあります。そ
して、新しい機能がどんどん追加されていま
す。例えば、テレビを見ることができるもの
や音楽を聞くことができるものがあるのであ
ります。最近では、小さなパソコンのような
(1900)
ものも登場しています。■また、日本では、
テレビにつきましてもデジタル化を進めてい
るのであります。デジタル放送になりますと
、テレビを見ている人と放送局の間でデータ
をやりとりすることができます。このことに
(2000)
よりまして、テレビを見ている人が番組に参
加することができます。それから、画面に字
幕を出すことができます。このことによりま
して、耳の不自由な人が番組の内容を理解し
やすくなります。このように、今までより便
(2100)
利な点がふえていることは間違いないのであ
ります。■さて、デジタル化が進むことによ
りまして、とても便利になったように見えま
す。確かに、よいことはたくさんあると思い
ます。しかし、中には、こういうものをうま
(2200)
く使えない人もいます。例えば、お年寄りで
あります。ですから、私は、このような人々
に対しまして、何らかの対策をすべきではな
いかと思います。そして、すべての人がこう
いうサービスを受けられるようになることが
(2300)
大切だと思うのであります。■それでは最後
に、憲法をめぐる問題について述べます。■
我が国の憲法がつくられてから、六十年が過
ぎました。この間、憲法は一度も改正された
ことがありません。これは、世界の国々の中
(2400)
では珍しいことであります。■そのような中
におきまして、憲法に対する国民の意見には
、さまざまな変化が見られました。例えば、
憲法は今のままでよいのかということであり
ます。これにつきましては、今のままでよい
(2500)
という意見と、時代に合わせて変えたほうが
よいという意見があります。この二つの意見
は、そのときの状況によってふえたり減った
りしました。そして、憲法を改正するという
ことについては、一九八〇年代までは余り議
(2600)
論されなかったのであります。しかし、九〇
年代になりまして、徐々に議論されるように
なりました。■それでは、なぜこのような変
化が起きてきたのでしょうか。■その理由の
一つとして挙げられますのは、国際情勢の変
(2700)
化ということであります。いわゆる冷戦とい
うものが終わりまして、世界は新たな時代に
入りました。そのときに、日本はどのような
役割を果たしていくのかということが改めて
問われるようになったのであります。■それ
(2800)
が具体的にあらわれたのが、九〇年代の初め
に起きた一つの戦争であります。しかし、そ
の当時は憲法との関係がありまして、特定の
分野でしか役割を果たすことができなかった
のであります。そのようなこともありまして
(2900)
、憲法について議論してもよいのではないか
という声が聞かれるようになってきました。
■言うまでもないことでありますが、ほかに
も憲法に絡む問題はありました。しかし、憲
法の中身に踏み込んで考えるということに対
(3000)
しては、国民の間にかなりの抵抗があったの
であります。したがいまして、政府は、あく
までも解釈によって対応してきたのでありま
す。■ところが、近年、我が国の安全にかか
わる問題が起こるようになりました。そのた
(3100)
め、憲法の中身につきまして議論してもよい
のではないかという意見が少しずつふえてき
たのであります。■また、憲法につきまして
は、環境に関することも重要なテーマとして
挙がってきています。それから、個人情報に
(3200)
関することも取り上げられるようになりまし
た。さらに、新しい権利についてもさまざま
な意見が出されています。これらは、憲法が
つくられたときにはなかった考え方や権利で
あります。■憲法では、すべての人が健康で
(3300)
文化的な生活をする権利があるとうたわれて
います。ですから、私は、今後もそのような
生活をすることができるように、いろいろな
ことを考えるときに来ていると思うのであり
ます。■憲法に対する考え方というのはさま
(3400)
ざまなものがあると思います。私は、こうし
た議論を通じまして、憲法に関する理解がよ
り深まっていくことを望んでいるのでありま
す。(了)
(3462字)

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