2011年6月25日土曜日

第176回速記技能検定試験1級問題

 第176回速記技能検定試験1級問題

(スタート)
きょうはまず初めに学校の先生についてお話
をしたいと思います皆さんは学校で授業が成
り立たない状況が起きているという話を聞い
たことがあると思います例えば授業中に先生
の話を聞かない生徒がいるのでありますそれ
(100)
から授業中に歩き回る生徒もいます中には先
生が幾ら注意しましても全く言うことを聞か
ない生徒もいるのでありますこのような状態(160字・30秒)
が長く続きますときちんとした授業をするこ
とは難しいと思いますどうしてこのようなこ
(200)
とが起きているのかといいますと私たちが子
供のころと比べまして先生に対する尊敬の念
というものが薄れてきているからではないか
と思うのでありますそれから最近は先生の資
質というものもよく話題になっていますつま
(300)
り指導をする力が落ちているのではないかと(320字・1分)
いう意見もあるのでありますそこできちんと
した指導をするために何が大切かということ
について考えてみたいと思いますまず大切な
ことは生徒の性格を把握するということであ
(400)
ります当たり前のことでありますが生徒の性
格は一人一人違いますそれぞれに合った指導
をするためにはそれをしっかりと把握しなけ
ればなりませんその上でそれに合わせた指導(480字・1分30秒)
をするのでありますまた生徒の学力に合わせ
(500)
るということも大切でありますまず授業の内
容をどのくらい理解できているかということ
を確認する必要がありますそれをしないまま
授業を進めてしまいますとついていけない生
徒が出てきますそうするとついていけなくな
(600)
った生徒は授業を聞かなくなってしまいます
そのようなことにならないようにしなければ(640字・2分)
なりませんこのようにきちんとした指導をす
るためにはその性格でありますとか学力に合
わせた対応というものが重要になってくるの
(700)
でありますそれから生徒の話をよく聞くこと
も大切であります生徒を指導するときに一方
的に話すというのはよくありませんやはりお
互いのコミュニケーションが大切であります
ですから私はそういう能力を見につけること(800字・2分30秒)
(800)
が重要だというふうに思いますしかし今はそ
れが不足している先生がふえているようであ
りますこういう人が幾ら指導をしましてもな
かなか伝わらないと思うのでありますそして
先生というのは人に教えるだけでなく人から
(900)
学ぶことも大切でありますそういう姿勢がな
ければそこで進歩がとまってしまうのではな
いかと思います人が成長するためには周りか(960字・3分)
ら学んでいくということがとても重要なので
ありますこれはどのような仕事にも言えるこ
(1000)
とであります私は先生になる人の情熱という
のは今も昔も変わらないと思いますですから
そういう人たちがすばらしい先生になること
を願っているのでありますそれでは次のお話
に移りたいと思います皆さんもよく御存じの
(1100)
ように今の社会ではいろいろなものがデジタ(1120字・3分30秒)
ル化されていますこのような社会のことをデ
ジタル社会といいます現在多くの人がパソコ
ンを使っていますそしてインターネットを通
じましてさまざまなサービスを利用していま
(1200)
す今では家庭にもかなり普及していますそれ
によりまして生活が便利になりました例えば
わざわざお店まで行かなくても買い物ができ
るようになったのでありますもちろん実際に(1280字・4分)
品物を見て買うことはできませんしかし重い
(1300)
ものを持てない人や買い物に行く時間がない
人にとりましてはとても便利だと思うのであ
りますまた政府は学校のIT化ということを
進めています例えば授業でパソコンを使える
ように環境を整えているのでありますこれに
(1400)
よりまして多くの学校におきましてパソコン
を使った授業が行われるようになってきまし(1440字・4分30秒)
たさらに最近では銀行でもIT化がどんどん
進んできています銀行のほとんどの手続はイ
ンターネットで行うことができるようになり
(1500)
ましたそしてほとんどのサービスはいつでも
使うことができますですから忙しい人にとり
ましてはとても役に立つものなのであります
また一方で銀行にとりましてもよいことがあ
りますそれは業務の合理化ができるというこ(1600字・5分)
(1600)
とでありますそれから携帯電話につきまして
もこの十年ほどの間に環境が変わりました今
は多くの人が携帯電話を持っていますまたそ
の種類もいろいろなものがありますそして新
しい機能がどんどん追加されています例えば
(1700)
テレビを見ることができるものや音楽を聞く
ことができるものがあるのであります最近で
は小さなパソコンのようなものも登場してい(1760字・5分30秒)
ますまた日本ではテレビにつきましてもデジ
タル化を進めているのでありますデジタル放
(1800)
送になりますとテレビを見ている人と放送局
の間でデータをやりとりすることができます
このことによりましてテレビを見ている人が
番組に参加することができますそれから画面
に字幕を出すことができますこのことにより
(1900)
まして耳の不自由な人が番組の内容を理解し(1920字・6分)
やすくなりますこのように今までより便利な
点がふえていることは間違いないのでありま
すさてデジタル化が進むことによりましてと
ても便利になったように見えます確かによい
(2000)
ことはたくさんあると思いますしかし中には
こういうものをうまく使えない人もいます例
えばお年寄りでありますですから私はこのよ
うな人々に対しまして何らかの対策をすべき(2080字・6分30秒)
ではないかと思いますそしてすべての人がこ
(2100)
ういうサービスを受けられるようになること
が大切だと思うのでありますそれでは最後に
憲法をめぐる問題について述べます我が国の
憲法がつくられてから六十年が過ぎましたこ
の間憲法は一度も改正されたことがありませ
(2200)
んこれは世界の国々の中では珍しいことであ
りますそのような中におきまして憲法に対す(2240字・7分)
る国民の意見にはさまざまな変化が見られま
した例えば憲法は今のままでよいのかという
ことでありますこれにつきましては今のまま
(2300)
でよいという意見と時代に合わせて変えたほ
うがよいという意見がありますこの二つの意
見はそのときの状況によってふえたり減った
りしましたそして憲法を改正するということ
については一九八〇年代までは余り議論され(2400字・7分30秒)
(2400)
なかったのでありますしかし九〇年代になり
まして徐々に議論されるようになりましたそ
れではなぜこのような変化が起きてきたので
しょうかその理由の一つとして挙げられます
のは国際情勢の変化ということでありますい
(2500)
わゆる冷戦というものが終わりまして世界は
新たな時代に入りましたそのときに日本はど
のような役割を果たしていくのかということ(2560字・8分)
が改めて問われるようになったのであります
それが具体的にあらわれたのが九〇年代の初
(2600)
めに起きた一つの戦争でありますしかしその
当時は憲法との関係がありまして特定の分野
でしか役割を果たすことができなかったので
ありますそのようなこともありまして憲法に
ついて議論してもよいのではないかという声
(2700)
が聞かれるようになってきました言うまでも(2720字・8分30秒)
ないことでありますがほかにも憲法に絡む問
題はありましたしかし憲法の中身に踏み込ん
で考えるということに対しては国民の間にか
なりの抵抗があったのでありますしたがいま
(2800)
して政府はあくまでも解釈によって対応して
きたのでありますところが近年我が国の安全
にかかわる問題が起こるようになりましたそ
のため憲法の中身につきまして議論してもよ(2880字・9分)
いのではないかという意見が少しずつふえて
(2900)
きたのでありますまた憲法につきましては環
境に関することも重要なテーマとして挙がっ
てきていますそれから個人情報に関すること
も取り上げられるようになりましたさらに新
しい権利についてもさまざまな意見が出され
(3000)
ていますこれらは憲法がつくられたときには
なかった考え方や権利であります憲法ではす(3040字・9分30秒)
べての人が健康で文化的な生活をする権利が
あるとうたわれていますですから私は今後も
そのような生活をすることができるようにい
(3100)
ろいろなことを考えるときに来ていると思う
のであります憲法に対する考え方というのは
さまざまなものがあると思います私はこうし
た議論を通じまして憲法に関する理解がより
深まっていくことを望んでいるのであります(3200字・10分)
(3200)
(了)

 1字空け   29個
 読  点  134個
 句  点   99個
 発音字数 3200字

 日本速記協会の速記検定試験では、1字空け、句読点を字数には勘定しません。
 発音字数3200字10分間が速記検定1級のスピードです。
 通常の字数計算方法とは違いますので、誤解のないように注意してください。
 10分間3200字の1級問題も、1字空け、句読点を1字として勘定しますと、3462字になってしまいます。
 これらを字数と勘定して練習していて本番に臨むと、余りのスピードの違いにびっくりすることになると思います。
 また、用字例が変われば字数も異なります。
 「きょうは」なら4字ですが、「今日は」なら3字になります。
 「さまざまな」なら5字ですが、「様々な」なら3字になります。
 速記教育機関によって用字例が異なる場合がありますので、御注意ください。

 1字空け、句読点を抜いて字数計算をするのは、かえって非常に手間がかかります。
 その上、1字空けや句読点を抜いた文章はとても読みにくくて、読めたものではありません。
 私は、問題作成や字数計算を正確迅速に行うために、1字空けや句読点も1字として計算すべきであると主張してきました。
 速記は、人間の「字を書く」という行為の中で最高峰のものですから、これが人間社会においてすたれるなどということは、あってはならないことだ考えます。
 速記教育界の長い慣習、朗読速度重視の姿勢も大切ですが、一日も早く簡単な字数計算方法に切り替えてほしいと思います。
 「速いものを正確に書き取る」と同時に、「句読点や改行のきちんと入った正しい文章を作成する」ということにも力点を置いて速記教育を行っていくべきだと思います。

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